ジェネリック医薬品(じぇねりっくいやくひん)

医師の処方を必要とする医療用医薬品のうち、新薬、つまり先発医薬品の特許が切れた後、開発メーカーとは別のメーカーが製造発売する後発医薬品のこと。略称GE。先発品と効き目は変わらず、価格が安いため、医療費全体が安くなり、患者の自己負担も少なくてすむ。

薬の開発には十数年の年月と何百億円もの経費がかかる。先発品は物質の発明から20年程度、他社が製造販売できないよう特許権で守られているが、それ以後は他社でも製造可能になるため、メーカーは国にジェネリック医薬品として承認申請し、認可を受けると販売できるようになる。すなわち、後発品は開発経費のない分、価格は安く設定されるのである。

医薬品の成分は限定された化学物質で、製造法も公開されているため、後発品でも同一の品質のものができ、原則として同じ有効性が期待できる。後発品は、アメリカでは先発品より簡略な臨床試験を義務づけるが、日本では成分分析、溶解度試験データから先発品と同一成分とみなし、厚生労働省が認可している。より飲みやすくするため、成分以外の補助物質が先発品と多少違う場合もありうる。

欧米では医薬品の半分前後がジェネリック医薬品であるが、日本では2割弱程度となっている。「同等の有効性」を信じない医師も少なくない。厚生労働省は医療費削減目的で普及に力を入れており、2006年(平成18)4月からは医師が処方箋(しょほうせん)の「後発医薬品への変更可」欄にあらかじめサインをしておけば、たとえ先発品を指定していてもジェネリック医薬品に変更できることにした。

ジェネリック医薬品は数が多いが、調剤薬局が置いているのはその一部だけである。患者は薬剤師と相談で選ぶことになる。ジェネリック医薬品メーカーも薬局を無視できず、薬剤師の力が強まる。

[執筆者:田辺 功]